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平家物語と禿(カムロ)
平安時代末期、おごる平家に対する不満は旧勢力の貴族の中だけではなく、その傍若無人ぶりに庶民も反感を強めていました。 それに対する清盛入道の取った手が『平家物語』に載っています。 清盛は雑用に使う十四歳から十六歳までの少年ばかり三百人をそろえて私設警察にしました。これらの少年はすべて髪を禿(かむろ)といってオカッパのように短く切りそろえ、赤い直垂(ひたたれ)を着せられていました。 彼らはいつも京の市中を徘徊していて、誰かが平氏の悪口を言ったり、政治批判を口にしたりしているのを耳にしようものなら、すぐに三百人の仲間を呼び集め、口にした者の家に乱入し、家具や衣類などを壊したり、破いたりして乱暴した上、六波羅へ引き立てていきました。 だから目に見たことも、心で知ったことも言葉に出して言う人は誰もいなくなりました。 「六波羅殿の禿」といえば、道を通る馬に乗ったひとも牛車の人も恐ろしいので、みな道を避けてやり過ごしました。 (原文) ――入道相国はかりごとに、十四五六ばかりの童部を三百人揃へて、髪を禿にきりまはし、赤き直垂を着せて、召し使はれけるが、京中にみちみちて往反しけり。おのづから、平家の御事をあしきさまに申す者有れば、一人聞き出ださるるほどこそ有れ、三百人に触れまはして、その家に乱れ入り、資材雑具を追捕して、その奴をからめて六波羅へ率てまゐる。されば、目に見、心に知るといへども、言葉にあらはして申す者なし。「六波羅殿の禿」とだに言ひてければ、道をすぐる馬、車も、皆よけてぞとほしける。(かぶろの沙汰)―― かむろは赤い直垂の下に白いズボンのような袴をはいていましたから、紅白の服装をしたオカッパのかむろは恐ろしい存在であり、嫌われ者でした。 かむろは清盛の私設警察ですが、平安京の公式治安維持組織は検非違使(けびいし)です。 その配下の看督長(かどのおさ)は監獄の管理責任者でしたが、後に直接に罪人を捕縛する役も兼ねます。 その服装は「赤狩衣、白衣、布袴に白杖を持つ異形のいでたち」であったそうですから、紅白の服装は警察もしくは治安維持を示す配色だったといえます。 この時期は、赤と白の組合わせが、「悪人を懲らしめる」シンボルカラーであり、人々にとっては何かおぞましい配色であり、「おめでたい配色」ではありませんでした。 「日の丸」の白地に赤丸という配色の起源は、検非違使配下の看督長(かどのおさ)の服装、それを模したかむろの服装にあるとわたしは思っています。 赤(紅・朱)と白の組合わせの意味については今後も触れていきますが、赤と金、青と銀という配色と比べるとスッキリしていますが華やかさがありません。 蛇足:今日でも赤丸は駐在所・交番のシンボルマークで、玄関の上に赤丸電灯が灯っています。都会では縦長の赤蛍光灯になってしまいましたが。 赤は、「悪人を懲らしめる」シンボルカラーとして、平安時代以来、今日まで引き継がれています。
by hangeshow
| 2008-09-19 14:35
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