カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2200年前の馬王堆遺跡から発見された衣装の右袖に黒いカラスが配された朱色の太陽が描かれていました。
これは起源が大変古い日月神話をもとに描かれていました。 しかし、この神話伝説は遠い過去の物語ではありません。今日の日本各地に「オビシャ神事」として、毎年春の行事として行われています。 カラスの描かれた的に向かって矢を射る行事で、英雄・ゲイが悪魔的な太陽を射落とした様子を毎年、復元・再生してます。 長い年月がたっていますから、さまざまに変形しているのもやむを得ません。 オビシャは御日射なのですが、御歩射(オブシャ)という場合があります。 馬に乗って的を射るのではなく、歩いて(立ったまま)射るので、御歩射になってしまったのでしょう。 御奉射(オブシャ)というのは、「矢を射させていただきます」という意味です。 オビシャがオブシャとなまって伝えられ、それに対応した文字(御歩射や御奉射)が後に付けられたものです。 カラスの的も変形し、単なる蛇の目模様の的になっている場合が多いのですが、一番真ん中の丸印だけが赤く彩られている場合は、かすかに「太陽を射るのだ」という意識が残っているのでしょう。 的が赤鬼や青鬼の場合もあります。単に「鬼」と書いてある的もあります。 千葉県八千代市と周辺のオビシャの的はどれも個性的で大変おもしろい。 オビシャの目的も多くは「五穀豊穣・豊年満作祈願」となっており、英雄・ゲイの偉業を再現したドラマなのだという解説もないし、意識もないようです。 わたしの勤務先の近くに六郷神社(東京大田区)があります。ここでは「七草こども流鏑馬」が行われます。 六郷神社は元は八幡社(武家の篤い信仰を受けている)で、大田区では由緒が古い神社です。徳川家康が三河から江戸に移る時に立ち寄ったとかで、葵のご紋の使用を許されています。数年前まで「御歩射」でしたが、武家と関係深いことから「こども流鏑馬」に劇的に変化したものです。 しかし祭礼の前半は「御歩射」の伝統にしたがって歩いて行われます。持っている矢を的に突きさします。後半が新しく採用された様式で、正装された木馬に騎馬して射ます。 行事の目的は「男子の健やかな成長と健康祈願」であり、都会の神社なので「五穀豊穣・豊年満作」も消えてしまいました。もちろんゲイ神話の説明などありません。 しかし、まぎれもなくこの行事はオビシャ祭です。 数年前まで「歩射」だったのであり、「八方にらみの的」が証拠です。(図は六郷神社のHPからの引用) ふざけた調子の眼が描かれています。 これは「魔」を示しており、魔を射ることで「豊作祈願」が成就するだろうといことになります。 この眼はおそらくカラス模様が変化したものでしょう。 元々は八羽のカラスが描かれていたものが、いつの頃からか「ヘンテコ眼模様」になってしまいました。 この行事は12歳以下の氏子の中から希望者が参加するのですが、大変な人気で毎年、100人以上の申し込みがあるそうです。ということは毎年100人をこえる英雄・ゲイが誕生していることになります。たいしたものだ。 2200年前の中国南部、馬王堆遺跡の女主人に贈られた衣装、そこに描かれた朱色太陽の中のカラス。乱れ出る朱色太陽を英雄・ゲイが射落として平和になったという神話。 その神話を毎年再現している人々の祖先は、古代中国南部(揚子江下流・呉国)と深い関係があるのかもしれません。 そんなことを考えるのが古代史のロマンでしょうか。 蛇足: 神話学ではオビシャではなく、射日神話といいます。逆に、太陽がいなくなって(隠れて)困り、太陽を呼び戻したというタイプの神話は招日神話と言うそうです。 ゲイ神話の中で「最後の一羽となったカラスは恐ろしくなって岩穴に隠れた」という別伝もあります。 これは「(乱暴な男がいたので)アマテラスが岩戸隠れした」という神話と同系列です。 太陽が復活するのには、どちらもニワトリが大きな役割をするのですが、今回は指摘だけにとどめます。
by hangeshow
| 2008-08-09 09:22
| 太陽の話
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||